先日、デジカメの画素数に関する新聞記事を見た。それによるとこの先5年以内にデジカメの画素数が1億を超えるというのである。わたしが愛用している富士フィルム X-E2 の画素数は1,630万画素だ。1億とはほど遠い数字。できあがった写真を見て違いがわかるのかどうかが気になる。 デジカメの画素数は2012年に2,000万画素を超えたというから、X-E2 の1,630万画素というのはそれより少し低めの数値である。とはいえ使用に際し特に不満があるわけでもなく満足できる画素数である。 2005年には1,000万画素を超え、7年後の2012年に2,000万画素を超えた。2倍に増えたわけだ。そして2020年には1億を超すという。15年で10倍。急速な技術の進歩である。 ちなみに2,000万画素あれば大きなポスター印刷の使用に十分耐えられる。最近のデジカメならどの写真でも印刷物に使うことができるということだ。わたしがデザイン事務所で広告制作を始めるようになった 1990年代初めには考えられなかったことだ。 もちろんデジタルカメラというものも無かったように思う。デジタルカメラが一般に登場したのはカシオ計算機の「QV10」という機種。1995年の事だ。デザインの仕事で使えないだろうかと興味を持ったが画素数は25万画素。とても使えるモノではなかった。 ただ、数年後にはデジタルカメラが当然のようにデザインの現場で使用されているだろうことは想像できた。 今、2015年。一般的なデジカメの画素数が2,000万画素を超え印刷に耐えられるレベルに達している。高級機になると5,000万画素を超える機種も登場し始めている。 何度も書くが、2020年には1億画素を超える。1億画素といってもどれほどものかイメージできない。できるはずもない。この技術、空想の世界の話ではなく既に実機もあるという。 2015年11月4日、5年に1度開催される Canon EXPO 2015 TOKYO が開幕した。そこで登場したコンセプトモデルのデジタル一眼レフカメラ。それが1.2億画素なのだそうだ。 1.2億画素にもなると当然画像のファイルサイズがとてつもなく大きくなる。ハードディスクも圧迫する。処理能力の高いパソコンも必要になるかもしれない。 画像サイズは 13,312 × 9,216 ピクセル。 RAWデータの容量が1枚で 230MB ほどにもなるという。 高速と言われるCLASS10のSDカードの書き込みスピードが 10MB/1秒 程度だとすると1枚の写真に23秒必要になる計算? (※展示機は1秒5枚の読み出し速度があるようだ。その技術にも驚く) 10枚撮れば 2,300MB、2GB を超えるわけだ。 100枚撮れば 23000MG、20GB を超える。 もちろんSDカードの書き込みスピードも容量も2020年になれば格段に向上しているだろうから心配することもないはず。はず。 はずではあるが、そんなに進歩して何が良いの?という疑問も沸いてくる。一般の写真家さんには必要ないかもしれない。プロの商業カメラマンのための技術でしかない。 本当にそうだろうか?普通の写真家さんに恩恵はないのだろうか? 以前にも書いたが、わたしは重いカメラを持つのが苦手である。ましてや望遠レンズを持ち歩きたくない。 1.2億画素にもなると 20km 先に走るトラックの文字を判読できてしまうらしい。もちろんこれは800mmという巨大な望遠レンズを付けての撮影。標準レンズやパンケーキレンズで撮ると1.2億画素の画像はどうなるのだろう。 デジタルカメラが高画素になってクロップ機能が付く機種が登場している。 クロップ機能とは
ニコンD2Xで採用された機能のひとつで、画面の中央部だけを使って、読み出しを高速化して、連写性能を上げたもの。つまり、電子ズーム(デジタルズーム)で、画面をトリミングしてズーム効果を得るのと基本的には同じである。ただし、D2Xの場合、撮像素子全体では12.4メガという高画素のため、中央部をクロップしても、6.3メガ(630万画素)と普及タイプのデジタル一眼レフなみの画素数を持つ。これにより毎秒約8コマの連写性能を得ているわけである。ただし、画面中央部だけを使うため、全視野と区別するために、ファインダー内には撮影範囲を示す赤いフレームが表示されるスクリーンを使う。なお、クロップは英語のcropで、 トリミング と同じ意味である。 クロップ機能(くろつふきのう,くろっぷきのう)とは - コトバンク撮影時にファインダーを覗きながらトリミングすることで望遠ズームのように撮影することができる方法である。クロップ撮影の場合、画像サイズも小さくなるので撮影スピードも速くなると言うメリットもある。 1.2億画素とは言わないまでもそれに近い画素数がデジカメの普及機に搭載されるようになるだろう。クリップ撮影というジャンルが進歩するのではないかと期待している。クロップ撮影専用のデジタルカメラがあっても良い。 クロップ撮影の世界を追求してみたい。 今日も元気に楽しく♪