画素数の大きさは画質の良さではない
たとえば、ミラーレス一眼のイメージセンサーに9画素、スマホのイメージセンサーに9画素を配置したとします。つまり9画素のミラーレス一眼と9画素のスマホカメラの比較です。
画素数は同じですけど、光を受け取る部分「受光面積」の大きさに差が出ます。受光面積は大きければ大きいほど光から得られる情報量が多くなります。スマホにミラーレス一眼と同じ量の画素を詰め込むと受光面積を犠牲にしてしまうことになります。
本来なら1画素のイメージセンサーにすべきところを無理矢理9画素詰め込んでいるわけです。イメージセンサーのサイズに最適な画素数があります。
スマホカメラの場合は1000万画素(10メガピクセル)程度が限界ではないでしょうか。1000万画素というと画像サイズでは長辺3000ピクセルを超えてしまいます。結局小さくリサイズして使ってますよね。
小さな受光面積の影響
受光面積が小さいと、写真にどんな影響があるのか?分かりやすいところで言うと、階調のなめらかさ。暗い場所での撮影も苦手になります。それから被写界深度にも影響があります。
階調のなめらかさ
階調のなめらかさは、例えば明るい青空の写真を思い浮かべてみてください。薄い青から濃い青まで緩やかなグラデーションになっていることが多いですね。受光面積の狭い小さなイメージセンサーは、緩やかなグラデーションを表現するのが苦手です。
暗い環境でのノイズ発生
受光面積の狭い小さなイメージセンサーは、暗い環境での撮影も苦手です。「デジタルカメラの操作」のところで ISO という設定項目がでてきます。ISO は光を受け取る能力であり、「ISO感度」とも呼ばれます。
通常の撮影では ISO感度は、100〜200 の設定で撮影します。この数値を増やすと暗い環境でも写真を明るく撮ることができます。そのかわりに写真にノイズが増えてくるようになります。
受光面積の広い大きなイメージセンサーであれば1つ1つの画素が受け取る情報が多くなるので ISO感度の数値を大幅に増やしてもノイズを少なくすることが可能です。
一方、狭い受光面積の小さいイメージセンサーでは、情報量が少なく画像処理で補完して写真を明るくする必要があるために ISO感度を少し増やすだけでノイズが目立ってしまいます。
被写界深度
被写界深度?
ピントを合わせた主役の被写体から前後ピントが合った範囲の広さです。少し難しいので後日、別の記事でも詳しく説明します。
料理写真やポートレート写真などで、主役の被写体をひきたてるように前後がやわらかくボケた写真をよく見かけることがあります。レンズの絞りを大きく開けると主役の被写体の前後がボケた写真をとることができます。
![ミラーレス一眼[APSサイズのイメージセンサー]被写界深度が浅い写真](https://htmt41.com/wp-content/uploads/20161111-DSCF2585-001-blog-900x600.jpg)
絞り開放 1.4 で撮影
レンズの絞りを絞っていくとピントが合った範囲が前後に広がって、全体的にピントが合った写真になっていきます。
- 絞りを開く=主役の前後にボケ範囲が広がる
- 絞りを絞る=主役の前後にピントが合った範囲が広がる
そういった被写界深度を利用した表現を最大限活かすためには受光面積の広い大きなイメージセンサーが必要になります。
コンパクトデジカメで絞りを開放にして撮影しても思ったような背景ボケ写真にならない理由は、イメージセンサーの小ささ及び受光面積の狭さにあります。写真がへたなのではありません。
ちなみに、スマホのレンズは絞りが 2 程度に固定されています。絞りが大きく開いている割にボケ感のある写真が撮れないのはやはり小さなイメージセンサーに無理矢理多くの画素を詰め込んでいるからといえます。

結局、イメージセンサーの大きさが画質にとって重要な要素になります。そして、そのイメージセンサーの大きさに合った数の画素が配置されていることも大切と言うことです。画素数が多いほど画質が良くなるわけではありません。
最後に誤解を解いておきますが、スマホの写真がダメだというお話ではありません。写真の善し悪しは画質だけで決められるモノではありません。スマホでしか撮れない写真もあります。スマホにはスマホの良いところがあるので、ミラーレス一眼、コンパクトデジカメ、スマホカメラをうまく活用していきたいですね。
