写真編集ソフトにも、AIを使った機能が増えてきました。
「写真編集にAI」と聞くと、写真にないものを加えたり、背景を作り変えたりする生成AIを思い浮かべる人も多いかもしれません。
2026年9月に登場したRAW現像ソフト「DxO PhotoLab 10」で、私が気になったのは、それとは少し違うAIの使い方でした。
DxO PhotoLab 10 公式発表
AIが写真を作るのではなく、自分で撮った写真を編集するための「選択」を助けてくれる。
その代表的な新機能が、写真の奥行きを解析して、前景・中景・背景を「距離」で選べる深度マスクです。
今回は、DxO PhotoLab 10で何が変わったのか。そして、写真編集でAIを使う意味について考えてみます。
この記事でわかること
- DxO PhotoLab 10の「深度マスク」とは何か
- 写真を「距離」で選択すると何が便利なのか
- 人物AIマスクやAIダスト除去などの主な新機能
- 生成AIとは少し違う、写真編集AIの使われ方
一番気になった「深度マスク」
写真の一部分だけ明るくしたり、色を変えたりするときに使うのが「マスク」です。
これまでも、
- 人物だけを選ぶ
- 空だけを選ぶ
- 明るい部分だけを選ぶ
- 特定の色に近い部分を選ぶ
といった方法がありました。
PhotoLab 10では、そこに「カメラからの距離」という選び方が加わりました。
AIが写真を解析して詳細な深度マップを作り、前景・中景・背景といった奥行きを推定します。
撮影時にカメラ側で特別な深度情報を記録しておく必要はありません。通常の写真からPhotoLab 10側が奥行きを判断し、調整したい距離の範囲を選べます。境界の変化を自然につなぐフェザリングも調整できます。
「花だから」ではなく「この距離だから」選ぶ
たとえば、道ばたの草花を撮った写真を考えてみます。
手前に小さな花があり、その向こうに道、さらに奥に木や建物が写っている。
写真を見返して、
「手前の花だけ、もう少し明るくしたい」
と思うことがあります。
これまでなら、ブラシで塗ったり、被写体認識を使ったりして、花の部分を選択します。
深度マスクでは、少し考え方が違います。
「花だから選ぶ」のではなく、「この距離にあるものを選ぶ」。
手前側を選んで少し明るくする。
背景側を選んで、コントラストや色を少し抑える。
そんな使い方が考えられます。
風景写真なら、手前の草木、中景の森、遠くの山というように、奥行きごとに補正することもできそうです。
被写体そのものを細かく囲うのではなく、写真の手前から奥へという距離を基準に選べるところが、この機能の特徴です。
被写体の種類ではなく、写真の「奥行き」を見る
最近のAIマスクでは、人物や空など、AIが「何が写っているのか」を判別して選ぶ方法が増えています。
深度マスクが見ているのは、それとは少し違います。
写真の中で、それがどのくらいの距離にあるのか。
被写体の種類ではなく、奥行きを基準に編集範囲を作ります。
風景や植物、街のスナップのように、手前から奥まで複数の被写体が重なっている写真では、この選び方が便利な場面もありそうです。
特に私の場合は、植物散歩で撮った写真に使ってみたいと思いました。
手前の草花と、その奥にある道や建物。
「植物だけ」ではなく、「このあたりまでを少し整えたい」という選び方ができるなら、これまでとは違う部分補正の使い方ができそうです。
AIに任せたいのは「どこを編集するか」
写真編集でAIに何を任せたいのか。
今回のPhotoLab 10を見ていて、私は「編集する場所を選ぶ作業」はAIとの相性がよさそうだと感じました。
どこを明るくするか。
どんな色にするか。
背景をどこまで抑えるか。
写真をどう仕上げるかは、自分で決める。
その前段階にある、編集範囲を作る作業をAIが手伝ってくれる。
PhotoLab 10では、AIマスクで選択範囲を作ったあと、DxO独自の**U Point(ユーポイント)**を使い、色や輝度を基準にその範囲を広げたり狭めたりできます。
全部を自動で仕上げるのではなく、選択をAIに手伝ってもらい、最後は自分で調整する。
写真編集では、このくらいの使い方が私にはしっくりきます。
人物のAIマスクも細かくなった
PhotoLab 10では、人物を対象にしたAIマスクも強化されました。
シーン内のすべての人物をまとめて選んだり、選んだ人物をひとつのマスクにまとめたり、人物ごとに個別のマスクを作ったりできます。
さらに顔については、
- 眉
- 目
- 虹彩と瞳孔
- 白目
- 歯
- ひげ
- 肌
- 唇
といった部分まで細かく選択できます。
ポートレートを多く編集する人にとっては、こちらのほうが使用頻度の高い新機能になるかもしれません。
顔全体をまとめて補正するのではなく、目元や肌など、必要な部分だけに調整を加えやすくなります。
カラーグレーディングも新しくなった
PhotoLab 10には、新しいカラーグレーディング機能も搭載されました。
カラーグレーディング(写真の雰囲気を色で整える作業)では、
- シャドウ(暗い部分)
- ミッドトーン(中間の明るさ)
- ハイライト(明るい部分)
- 全体
を分けて色を調整できます。
選択した階調範囲をリンクし、それぞれの色の関係を保ちながらまとめて動かすこともできます。
暗い部分を少し青寄りにする。
明るい部分には暖かさを残す。
そうした調整を使って、写真全体の雰囲気を整えていきます。
写真の色は、必ずしも「正しい色」に合わせるだけではありません。
撮った日の光や空気を、どんな雰囲気で残したいのか。
RAW現像では、そこを考える時間も楽しみのひとつです。
センサーのゴミもAIで検出
派手ではありませんが、実用的なのがAIダスト除去です。
レンズ交換式カメラを使っていると、センサーに付いたゴミが、写真の同じ場所に黒い点として写ることがあります。
特に空や明るい壁を撮った写真では目立ちます。
PhotoLab 10では、AIを使ってセンサーのゴミや小さな欠点をRAWレベルで自動的に検出し、除去できるようになりました。
何枚もの写真から同じゴミを探して消していくような作業は、AIに任せられると助かります。
こういう繰り返し作業は、人が時間をかけるより機械に任せたいところです。
写真編集AIは「生成」だけではない
「AIと写真」という言葉から、生成AIを思い浮かべることが増えました。
写真に人を加える。
空を入れ替える。
写っていなかったものを作る。
それもAIを使った画像編集のひとつです。
でも、PhotoLab 10を見ていると、別の使い方も進んでいることがわかります。
被写体を見つける。
奥行きを見つける。
センサーのゴミを見つける。
面倒だった選択作業を減らす。
そして、写真をどう仕上げるかは撮った人が決める。
「写真を作ってもらうAI」ではなく、「自分で写真を仕上げるためのAI」。
私は、こちらの方向にも興味があります。
「撮った後」の時間をどう使うか
写真はシャッターを切ったところで終わりではありません。
帰ってから見る。
選ぶ。
少し整える。
SNSに出す。
ブログに残す。
プリントする。
「撮った後」の時間も、カメラを楽しむ時間です。
だから、その時間をすべて自動化する必要はないと思っています。
面倒な部分だけ手伝ってもらって、自分が考えたいところには時間を使う。
PhotoLab 10の深度マスクは、そんな写真編集の使い方を考えさせる機能でした。
DxO PhotoLab 10の価格と対応環境
DxO PhotoLab 10は、MacとWindows向けに提供されています。
2026年9月2日時点のDxO公式ストアでは、新規ライセンスが249.99米ドル。
アップグレード価格は129.99米ドルからと案内されており、表示価格はPhotoLab 8または9からのアップグレードに適用されます。
サブスクリプションではなく、追加費用のない永久ライセンス方式です。
また、すべての機能を試せる30日間の無料体験版も用意されています。公式発表では、体験版の利用にカード情報は不要と案内されています。
最新価格やシステム要件は変更される可能性があるため、導入前に公式サイトで確認してください。
深度マスクは実際に試してみたい
今回の新機能で、私が一番試してみたくなったのは、やはり深度マスクでした。
植物散歩で撮った写真を使って、
手前の草花と、その奥にある道や背景を、どこまで自然に分けられるのか。
写真によっては、被写体認識よりも距離で選べるほうが使いやすい場面がありそうです。
実際に使ってみると、また違った印象になるかもしれません。
写真編集でAIにどこまで任せたいのか。
これから写真編集ソフトを見るときの、ひとつの視点になりそうです。
関連リンク
DxO PhotoLab 10 公式発表
DxO「Introducing DxO PhotoLab 10」日本語ページ
DxO PhotoLab 10 公式ストア
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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ご感想や「自分はこうしているよ」といったお話があれば、ぜひコメントをもらえると嬉しいです。
ハタモトでした。